和声学を勉強しなくてもすぐ実践できる、ストリングスアレンジ方法(前編)

和声学を勉強しなくてもすぐ実践できる、ストリングスアレンジ方法(前編) 作曲・音楽理論

ストリングスアレンジは編曲の中でも特に高度なスキルが必要な部分です。
ストリングスだけ別の人に頼むこともあるくらいなので、専門的な音楽教育を受けていないひよ作にとっては非常に大きな壁になります。

和声学や対位法など、ロック・ポップス畑の人にはあまり馴染みのない分野の知識が必要になるので、この記事を読んでる人の中にも苦手意識を持っている方は多いのではないでしょうか。

とはいえストリングスで対旋律を奏でるというのは歌ものアレンジの定番なので、作曲家としては、手を出さずに乗り切れるものではありません。

ですので、今回はひよ作が、どうやって苦手なストリングスアレンジを乗り切っているのか、その手法の一部をご紹介します。

ひよ作
ひよ作

和声学を勉強しなくてもとりあえずすぐに実践出来るやり方なので、ぜひ参考にしてみてください。

※今回は歌ものポップスに入れるストリングスアレンジをとりあえず乗り切る為の、ある意味で邪道な知識も含まれてますのでゆくゆくはちゃんとした勉強をすることをオススメします!

基本はバイオリンのオクターブユニゾン+ビオラのハモリで裏メロ(対旋律)を担当させる

ストリングス編成の基本は

  • 第一バイオリン
  • 第二バイオリン
  • ビオラ
  • チェロ

の四パートになります。
歌ものポップスの場合、ほぼ100%この編成といって良いかと思います。
(基本的にベースがいるのでコントラバスは使いませんね。)

この四パートにどういった役割を持たせるかがストリングスアレンジの肝になってくるのですが、まずオススメしたいのが第一バイオリンと第二バイオリンのオクターブユニゾン+ビオラのハモリに裏メロ(対旋律)を担当させる方法です。

歌ものポップスの場合、あくまで主旋律は歌メロになります。
ですのでストリングスが担当する旋律は、ほぼ裏メロということになります。(もちろんイントロや間奏は別です)

弦楽四重奏などの場合、第一バイオリンが主メロ、第二バイオリンとビオラが対旋律や和声的な補完をし、チェロがベースラインというような役割で別々な動きをすることがありますが、歌モノの場合はそういうことはしなくて良いです。
むしろごちゃつくのでしない方が良いです。

特にストリングスアレンジが苦手な人は高度なことをしない方が上手くいくと思います。割り切ってストリングスは歌メロに対する裏メロ一本に専念しましょう。

ではその裏メロをどういった編成で奏でるのか。
それが第一バイオリンと第二バイオリンのオクターブユニゾン、その下にビオラのハモリが来る形になります。

裏メロ(対旋律)の作り方

では、歌メロ(主旋律)に対する裏メロ(対旋律)というのはどう作れば良いのでしょうか。
いくつかポイントがあります。

・共通するコードの構成音を保留する

違うコード同士に共通するコードトーンやテンションノートを保留して、ロングトーンで繋げるのは、ストリングスアレンジの定番ですね。

例えばF-G7という部分でファの音を持続すると、Fに対しては一度の音、G7に対しては7度の音になります。
同じ音でも背景であるコードが変わることによって違う響きになるんですね。

歌メロが細かく動く時のメインの手法かと思います。

強拍などポイントポイントで歌メロに対してハモる音程にする。

これは対位法的な観点にもなるのですが、対旋律は強拍などのポイントで主旋律とハモリ関係にすると良い感じになります

ハモリ関係とは主旋律に対して三度もしくは六度の音程にすることです。

対位法については以下の本が非常にオススメなので是非読んでみてください。
裏メロの作り方の詳細もバッチリ載ってます。

半音や全音でぶつかるような動きをしない。

歌メロ(主旋律)と全く別の動きをする裏メロ(対旋律)を考えていると、半音や全音といったかなり近い音のぶつかりが出てくる場合があります。

簡単に気づきそうなものなのですが、メロディとして横の動きにばかりとらわれていると、意外と気づかない時も多いです。

DAWには各トラックのMIDIノートを同時表示させられる機能があるので、しっかりと音のぶつかりが無いか確認しておきましょう

ただ少しでもぶつかったら絶対ダメというものでは無い(音価にもよる)ので、最終的にはちゃんと耳で判断することも大事です。

歌メロの隙間で動く。歌メロが動いている時にはなるべく動かない。

こちらも対旋律をつくる上での基本事項です。

歌が休んでいる時にストリングスが動き、歌メロが動いている時にはなるべく動かない、これが出来ると歌もストリングスもすっきり効果的に響かせることができます。

メロディを作曲する段階からストリングスが動けるような隙間を意識してつくると上手くいく気がしますね。

裏メロ(対旋律)は、歌メロ(主旋律)より目立たないようにする

裏メロが歌メロよりも地味というのもとても大事なことです。

ストリングス単体で考えているとつい派手な動きをしたくなりますが、歌メロを目立たせるという観点であれば、地味な方が効果的です。
コードトーンやテンションノートの保留をメインに、歌の合間でちょこっと動く、というようなアレンジでも最初のうちは十分だと思います。

ビオラは常にハモっていなくても大丈夫

第一バイオリンと第二バイオリンのオクターブユニゾンに、ビオラがハモる形ではありますが、ビオラは常にハモっていなくても大丈夫です。

歌メロや他のパートとぶつかるところは適宜コードトーンなどに逃げるようにしましょう。

ひよ作
ひよ作

上記のポイントを確認しながら、歌メロを引き立たせられるようなメロディを考えてみれば、割とそれっぽいラインになるかと思います。

難関はチェロの置き場

バイオリンのオクターブユニゾン+ビオラのハモリで裏メロを担当する手法の場合、どうしてもチェロの置き場に困ります。

これは正直私でも頭を抱える問題なのでこれといった正解を書けず心苦しいのですが、一応ポイントをいくつか。

ベースラインを無闇に重ねない方が良い

和声学的にはルートを重ねるという行為は安全牌の一つですし、ネット上にもチェロはベースラインの補強という説明は結構あると思います。

ただ歌ものポップスのストリングスアレンジにおいては、チェロがベースと一緒にルート音を担当するのはパートの無駄遣いにあたるでしょう。

それよりはバイオリンやビオラでカバー出来ていない和音の補足の方が良いかと思います。

チェロにも見せ場的なフレーズを入れていった方が良い

これは特に生の弦楽器をレコーディング際に重要になってくるのですが、チェロがずっとルートを弾いているような、居てもいなくても良いフレーズばかりの場合、演奏者としてもモチベーションが上がらないそうです。

確かに自分一人だけルートをなぞるだけのフレーズだったらつまらないですよね。

チェロはかなり高音まで使うことができ、またその音も非常に豊かなものなので、果敢に良いフレーズをねじ込んでいく方が良いのかも知れません。

多少思い切って動いても曲全体で聴けばかなり馴染みます
(むしろ聞こえない場合も多いですが、)そういうフレーズが楽曲の厚みを増していくのかも知れませんね。

まとめ

今回はバイオリンのオクターブユニゾン+ビオラのハモリで裏メロを担当するという手法をご紹介してきました。

この手法はサビなど特にストリングスが活躍する場面でよく使われていると思いますので、ストリングスアレンジの大半の場面は乗り切れるかと思います。

ちなみにもっとしっかり勉強したい人には以下の本が非常にオススメです。

対位法と和声学の本ですが、ポピュラー音楽の実用性を重視し、アカデミックすぎる(実用的でない)部分は省略してあるので、わかりやすく実用的な知識を得ることができますよ。

次回後編では、ストリングスで和音を担当する場合の手法をご紹介しようと思います。

コメント

  1. […] […]

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