
今日は作曲コンペにオススメの、音域の話です。
楽曲コンペの場合、メロディの音域が指定されている場合もありますが、「一般的な音域(キー)設定でお願いします」などと丸投げされることも多いです。
人によって歌唱音域は全然違うので、一般的ってなんだよ、と思いますよね?
ただ、コンペでは大体この辺が一般的な歌唱音域という範囲が存在します。
今回はそういった一般的な歌唱音域についてご紹介します。
一般的な音域で作曲するメリット
具体的な音域をご紹介する前に、先に一般的な音域にメロディを収めるメリットについてお話しします。
メリット1 ストックとしてコンペに回せる
コンペ曲の場合はストックとして作曲時は全く想定していなかった歌手に提出することも多いです。
タイアップ曲なども意外とストックで取れたりするので、ストック楽曲の活用はコンペ作家としては非常に大切な事になります。
性別さえ合えばいつでも出せるような音源を制作しておけばそれだけチャンスが広がります。
メリット2 歌手に余裕が出て表現力が上がる
音域の広さをアピールすることで歌手の技量を知らしめるという手法はもちろんありますが、コンペでそういった発注が来るのは稀なケースです。
もし音域が広い歌手に提供できた場合、上から下まで音域を使わなくてもったいないというような気になるかもしれませんが、音域が広い歌手が狭い音域の曲を歌う場合は、それだけ表現力に割く余裕が生まれるので、より良い歌になることが多いです。
また、音域を広く使えばダイナミックな曲になるような気もしますが、狭い音域でダイナミックな曲をつくることこそ、作曲家の腕の見せ所ですので、頑張りましょう。
以上のように、基本的に一般的な音域で制作することはメリットしかないので、特殊な案件以外は一般的な音域でつくっておくことをオススメします。
一般的な女性ボーカルの音域
女性ボーカルの場合は、ほぼこちらの音域で決定して良いのではと思います。
最低音A~最高音C(1オクターブ+1音半)

この音域であれば9割くらいの女性歌手はカバーできるかと思います。
歌に全力を割けないダンス系グループや歌が苦手めなアイドルでも対応出来ると思います。
1オクターブ+1音半という音域幅も作曲に適しているので、作曲時に困ることも少ないです。
かなり万能の音域設定だと思います。
女性ボーカルの最高音について
もちろん必ず最高音C以上は使ってはいけないかというとそういうものではありません。
一瞬の最高音であればDくらいまではなんとかなることが多いです。
ピッチ補正の視点で考えても上方向の修正は結構なんとかなりますね。
ただ半音上がっただけでも出ない人は出ませんので、最高音Cでおさまるに越したことはないかと思います。
また、最高音C連発のようなメロディの場合は若干苦しくなるかもしれませんので、そういうメロディの場合は半音くらい下げても良いかもしれません。
逆に最高音がB♭の曲は、女性ボーカルではかなり低めに感じるので、特に指定がない場合は避けた方が良いでしょう。
女性ボーカルの最低音について
最低音についても、Aより多少下にいっても大丈夫なことが多いです。
とはいえ使わないに越した方が良いですし、せいぜいGくらいまでに収めておいた方が良いでしょう。
また最低音も連打するようなメロディはあまり良い響きにならないことが多いです。
女性ボーカルの場合、低い音程が弱い傾向があるので注意が必要です。

最低音は訓練しても広げるのが難しいそうです。
ポップスは1オクターブに収めるつもりで作曲するのがオススメ
明るいポップスなどは大半のメロディが最低音Cから最高音Cくらいに収める気持ちで作曲するのがオススメです。
1オクターブの範囲に収めるつもりで作って、ちょっとライン的にはみ出すのはOKくらいの気持ちでつくるとうまくいくことが多いです。
一般的な男性ボーカルの音域
男性ボーカルの場合は女性ボーカルより、人によって音域のバラツキが多いです。
気持ち良く歌える範囲も人それぞれになってくるのですが、コンペ界隈ということで私の考えるオススメ音域はこちらです。
最低音D♯~最高音F♯(1オクターブ+1音半)

わりと低めに感じるかもしれません。
バンドやソロ歌手などは最高音A♯〜Cくらいまで使ったりしますからね。
しかしそれは一般的な範囲とは言えないでしょう。
ストックで使い回すことを考えると上記の範囲はオススメです。
男性ボーカルの最高音について
多くの男性の場合、地声だと張り上げてもだいたいAあたりが限界になります。
(それ以上のハイトーンで歌っていう人はミックスボイス等で歌っていることが多い。)
女性ボーカルの場合は限界ギリギリで出す声がむしろ可愛かったり魅力的に響くことが多いのですが、男性ボーカルの張り上げる声というのは苦しく聞こえたり無理やり出してる感じがしてあまり良くないことが多いです。
なのであまり上方向は無理をしない方が良い結果になります。
ただ、Gくらいまでは出せる人が多いので、上記の範囲より半音高くても問題ないかもしれません。
しかしコンペによっては最高音Fという少し低めの指定があったりします。
もし最高音Gで作っていた場合、決定後にキーを全音下げる必要が出てくるので、それを避けるために最高音F♯をオススメしています。
最高音F♯であれば、最高音の指定がFでもGでも半音の上げ下げで済みますので。
G♯以上の最高音が指定されることは稀なので、ひとまずは考えなくて良いかと思います。
男性ボーカルの最低音について
男性の場合は下方向の音域がかなり広いです。
通常の話し声で考えればかなり低い声も出せます。
なので低めに音域設定をしておいても、どうしても出ない、というようなことが少ないです。
しかし歌ということを考えるとやはり音域は狭い方が良いです。
いくら低い声が出るからといっても、歌として考えるとやはりD♯くらいを下弦にしておいた方が気持ち良く聞こえます。

ちなみに男性ボーカルの場合、メロディ譜面は実音の1オクターブ上で作成するのがオススメです。
実音だとかなり読みにくい譜面になるのでオクターブ上げて作成するようにしましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回はあくまでコンペで出しやすい音域についてのお話でした。
コンペで採用されると、キーを上げ下げしたデモや譜面(歌唱資料)を送り、実際のキーを確定する作業が発生することがあります。
なので、デモ段階の音域に関してはそこまで厳密なものではなく、むしろ仮歌さんに合わせたキー設定にしておくという手もあります。
ただこれは私の実体験ですが、男性ボーカル曲を最高音G♯で提出し、実際のキーはFに変更する、というパターンがありました。(1音半下げる)
その場合、かなり雰囲気が変わりますし(暗く聞こえる)、バックの楽器のアレンジ的にも不都合が色々出てきて大変でした。
なので最初からせいぜい全音くらいの上げ下げで対応出来るよう、今回オススメの音域をご紹介した次第です。
ぜひ参考にしてみてくださいね。

曲調などにもよりますので、最終的には自分でベストな音域を探してみてください!
女性ボーカル:最低音A~最高音C(1オクターブ+1音半)
男性ボーカル:最低音D♯~最高音F♯(1オクターブ+1音半)
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